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INTERVIEW with KAWAMI TAKUYA at2023.1.31

川見拓也建築設計事務所 代表/一級建築士

川見 拓也 様

(略歴)兵庫県出身。1995年の阪神淡路大震災とその後の街の復興を経験し、建築を意識するようになる。三重大学工学部卒業後、内装設計施工会社を経て横浜国立大学大学院で2年間学んだ後、株式会社フジワラテッペイアーキテクツラボ(FUJIWALABO)に就職。横浜トリエンナーレ2017会場構成や、コーポラティブハウスのチドリテラス、泉大津図書館、新垂水図書館など、公募型プロポーザル案件に多数関わる。乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体が手掛ける大学および高等学校移転整備工事のC地区を担当しつつ、2022年4月、川見拓也建築設計事務所を設立。めざすのは建物としての普遍性をベースに、その時々の多様性も重視し、時代を通じて実用性と普遍の価値を持ち続ける建築。

コンセプトは、ひらかれた大学。
音楽学部・研究科の防音ドアに大きな窓が欲しい想いに
東洋シヤッターは応え、一緒になって開発してくれました。

ー大きな窓のある防音ドア「框窓付フラットタイプ」は、川見様のご要望から生まれたそうですが、東洋シヤッターとのお付き合いは長いのですか。
いえ。 これまでお付き合いは、まったくありませんでした。
ーそうでしたか。 ではなぜ、東洋シヤッターにご相談を。
公共のプロジェクトであり入札が前提であったことから、各社様にお声がけをさせていただきました。その中に東洋シヤッターさんがいらっしゃったというのが、いちばんの理由ではあります。
防音ドアといえばグレモンだとか、重いだとか、銀色をしているといったイメージじゃないですか。そうではなくて「普通のドア」が欲しかったのですが無くて、各社様に相談したのですが、なかなかレバーハンドルでは難しいと。その中で東洋シヤッターさんは「ウチだったらこういうのがありますよ」とおっしゃり、紹介いただいたのが今回の商品に発展する前の商品でした。
ーTSレバータイトですね。
そうです、そうです。
いま学生たちは緑の多い環境の中で、たとえば廊下で楽器を演奏したりとか、のびのびと活動を楽しまれています。でも街中に移転となると、今までどおり練習ができるのか?周辺に音で迷惑をかけたりしないか?と、先生たちが怖がっておられました。また、外からの音も大丈夫なのか?といった尋常ではない不安を設計に投げかけられていたんです。
そんな不安を払拭できる遮音性能をまず担保する必要があります。
そのうえで女性が多く、大きな楽器を持ちながら片手でドアを開けるといった場面も考えると、軽やかな動作を実現したかった。それが、普通のドアにこだわった大きな理由です。
ー完成したドアはさらに大きな窓が特徴になっていますが、それにはなにか理由が。
そうですね。
“いまの開かれた都市構造を用いて新しく街をつくりたい”といった私たちの提案を含め、いろいろな側面がありますが一番は、大学の構想でしょうか。そもそも接点のない美術学部と音楽学部それぞれの姿が見えるようにして発展させていこうというものがあり、それをより良いカタチで実現したかったのです。さらに大学自体も門がないなど、外向きに開かれていて、中で何をしているのかが見えることで外部との平和的な関係が築ければとの思いもあり、窓がポイントでした。

実現の可能性は五分五分か?
しかし大学がやりたくて、みんなが望むなら、
戦うべきだと思いました。

ー見えるためには大きな窓が必要で、できると答えたのが東洋シヤッターだけだったと。
「できる」と即答をいただいたわけではなくて、「できるかも」といったお答えでした。ただ、他社さんはできないといったお返事でしたので。
ー実際のところ、実現性はどれくらいあると感じられましたか。
試験や作図、認定を取ることまで考えると日程がやや厳しくて、五分五分かなと。「なんとかします」とおっしゃっていただいていたのですが、ギリギリですねという話をしておりました。
ー短期間なら、技術担当者と直接打ち合わせしたことも多かったのでは。
いえ、技術の方と直接お話をしたことはなかったと思います。営業のIさんには、こういうことがしたいとお願いはさせていただきましたが。ただ、それで意図が伝わらないといったような不満はまったくありませんでした。
ー営業のIさんに伝えたことが技術にきちんと伝わり、仕上がってきたものはそれなりにできていたと。
いやいや、それなりどころか、本当にきちんと仕上がっていて、チーム内でもビックリしていたくらいです。みんなで喜んでいました。ここまでやってくれるのかといった感じでした。
ーそれなりではないと…。 大変失礼しました。やりとりは、どれくらいかかりましたか。
やりとりはそんなに多くありませんでした。5から10回の間くらいでしょうか。電話でお話しすることもありましたが、会ってお伝えする機会というのはそれくらいで済んだように記憶しています。「こういう考え方でいけそう」というのは比較的早い段階でクリアできていたと思います。しかし、性能をきちんと出す検証に少し時間を要したのではなかったかと…。構想自体は比較的早かったはずです。
ー素人の私にも窓の防音が大変そうに思うのですが、そのあたりは。
窓の防音は確かにキモの部分です。遮音を保とうとするときにいちばん弱いのはやはり建具です。いちばん良いのは石やコンクリートで囲ってしまうことですが、動く建具は弱い部分です。
しかもガラスの面積が増えていくとガラス本体で遮音性を担保しなければならず、遮音計画上のリスクになります。しかしながら、大学がやりたいこと、みんなが望むことであればそこは戦うべきだと思いました。
ー東洋シヤッターは結果を出したということですね。
先ほど申し上げたとおり、遮音を保とうとするときにいちばん弱いのは建具なのですが、ドア単体での遮音性能については、実験室内においての計測で評価ができいますので大丈夫だと思います。

速い、きれい。
東洋シヤッターさんのご対応には
感謝しかありません。

ー今回初めて東洋シヤッターと仕事をしてみて、印象はどうでしたか。
そうですね、すごく速くて、きれい。うーん、もっといい言葉にできればいいのですが、それが率直な印象です。こんなにご対応いただいているのにレスポンスがすごく速いうえに、やりたいことに寄り添っていただけて、本当に“一緒につくった”感が強くありました。単純な技術だけではない、いろいろなところでの工夫があるんだろうなというのは感じました。
ー最後に、東洋シヤッターでは今後、「MAKE with」(一緒につくろう)という取り組みを進めていこうとしているのですが、実際に一緒につくった川見さんはこれをどう思われますか。
すごく時代にあっていると思います。ラインナップからモノを選ぶというのはあるのですが、いま建築は逆境の時代でして、特に物価もものすごく上がってコストが厳しくなっています。加えて、省エネや各種法令も厳しくなっていて結構大変なんですね。その中で建具というのは法規に直結しますし、何より使う人がいちばん触れるモノですからどれだけ丁寧につくれるのかが重要です。どういうふうにつくればみんなにとって良いものになるのかを一緒に考えてつくるという点で、特に価値のある取り組みではないかと思います。
ーなるほど。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。

東洋シヤッターのこれからのモノづくり
“MAKE with”にご期待ください。

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