TOYO Shutter

まだどこにもない、理想の製品を私たちと一緒に MAKE with TOYOShutter

INTERVIEW with MOROTOME MITSURU at2025.9.18

東洋シヤッター株式会社 生産製品本部 商品開発部長

諸留 充

(略歴)大阪府出身。1994年4月に東洋シヤッター株式会社入社。技術部開発課に配属後、2011年2月から2014年3月まで業務企画部。2014年4月からは技術部(内2021年4月から2023年3月は商品企画担当)に所属し、2025年4月より商品開発部。これまでにTSレバータイト、TSウォータータイト、TSベンタイト、TS耐風セーブ、タイカルックαなど多くの商品を担当(実担当・管理担当・企画担当)。使用者が気づいていないニーズも含めて形にすることを信条とし、「難しい案件でも切り口を変えれば解決策はある」と考えながら開発に携わっている。

現場の困りごとを出発点に、
しっかり対話を重ねることで、
開発の壁を超える糸口を見つけました。

ー最初に堺泉北埠頭様から相談を受けた経緯を教えてください。
市場ヒアリングの中でシャッターのメンテナンスでお付き合いのある堺泉北埠頭様に改善したいことや困りごとのヒアリングをお願いした際、施設管理者の方から「防潮扉の更新にコストがかかりすぎる」というご相談をいただきました。その帰りに現場を視察し、実際の扉を目にした時、設置台数の多さや運営上の制約を直に感じました。「更新費用が大きな負担になっていること」「施工期間を長く取れないこと」に加えて、二度目のヒアリングでは岡本様から「静水圧に対応できれば良いこと」「要求を満たせるならひと手間が増えても構わないこと」など、優先事項と妥協点を明確に伺うことができました。そのやり取りを通じて「工夫すれば答えを出せるかもしれない」という手応えを感じたのを覚えています。
ー開発の中で特に苦労した点はどこですか。
大きく二つあります。ひとつは扉上部の強度確保です。防潮扉は引き戸タイプで左右の縦枠と下枠で固定されますが、上部だけがフリーになるため、水圧がかかるとどうしても上部の強度が弱くなります。従来は扉を厚く重くして強度を確保していましたが、それではコストも重量も増えてしまいます。そこでたどり着いたのが、扉上部にワイヤーを通し、閉鎖時に左右の壁へ掛け渡すという方法でした。ワイヤーには十分な強度があり、その張力を活かすことで上部の弱点を補えると考えたのです。結果として扉本体を薄く軽くしても十分な強度を確保でき、重量は従来比で約半分まで軽量化することができました。もちろん「ワイヤーを引っ掛ける」という作業は新たに必要になりますが、それ以外の工程はむしろ簡素化され、納得いただける構造を実現できました。
もうひとつは止水性能の確保です。シャッターの開口を塞ぐ幅広い防潮扉でしたが、中央部下部にある締付機構を無くしたいとの要望がありました。従来の防潮扉は硬いゴムに重量のある扉の両端と扉中央部を強く押し付けて水漏れを防ぐ構造でした。しかし、硬いゴムでは扉の両端を締め付けただけでは下枠に密着させることが出来ないため、扉中央部の止水性能を確保できません。そこで新たに考えたのが二段式のゴムシール構造です。まず扉両端の締め付けだけでも扉中央部も下枠に密着する柔らかく背の高いゴムで、低水圧時の初期密着を確保し、その後、水圧が高まった際には扉が押されて二段目の硬めのゴムが当たり止水する。この方式により、扉両端の締め付けだけで低水圧から高水圧まで対応できる仕組みを構築し、軽量化と止水性能を両立させることができました。
ー性能確認はどのように行ったのですか。
奈良工場の実験棟に実寸大に近い試験体を製作し、静水圧を段階的にかける試験を行いました。柔らかいゴムがまず密着し、その後に硬いゴムが作用して止水する様子を目視で確認でき、漏水量も許容範囲内に収まり強度上も問題ありませんでした。堺泉北埠頭の岡本様にも立ち会っていただき、挙動を共に確認しながら合意形成ができたのは非常に有意義でした。また試験を通じて、ワイヤーは水平に掛けるよりも水圧側にオフセットした方が安定することが分かり、現場施工では壁から約400mm持ち出して設置する改良を加えました。
ー施工性や操作性は改善されたのでしょうか。
施工面では既存の下枠や縦枠をできるだけ活かし、扉本体と止水機構のみを改修する設計としました。その結果、塗装やコーキングを除けば、撤去から据付までの工程は1日で完了できる短工期を実現できました。操作性についても「扉を引いて閉じる」「左右を締める」「ワイヤーを掛ける」というシンプルな流れにまとめることができました。さらに従来は扉両端に加えて中央下部を締めないと止水できない構造でしたが、錆びついて動かなくなるケースが多くありました。今回のワイヤー補強式水防引き戸では、その中央下部の締め付けが不要になったことで、「ワイヤーを掛ける」という新たな作業はあるものの、むしろ操作は軽く、簡便になったと高く評価いただいています。

お客様の想いを形にするために、
東洋シヤッターのこれまでのノウハウを結集。
その努力は、嬉しい一言で報われました。

ーなぜこのような工夫が可能なのでしょうか。
止水製品はこれまでに開き扉や水防板など、さまざまな開発を経験してきました。その中で、水圧がかかったときにどこに力が集中するか、ゴムの硬度や形状によってどのように漏水パターンが変化するかといった知見を裏づける社内データが数多く蓄積されています。今回の開発は、それらの知見を組み合わせることで最適な答えを導き出したものです。お客様からの要望に対して「無理です」と答えるのは容易ですが、同じ課題に直面している施設は全国に存在するかもしれません。だからこそ、要望を丁寧に整理し、優先事項と妥協点を明確にしたうえで共に考えることが大切だと考えています。
ー今回の開発を通じて印象に残っていることはありますか。
最も印象に残っているのは、設置後に「軽くて使いやすい」「中央締め込みがなくなって楽になった」といった声とともに、「東洋シヤッターにお願いしてよかった」と言っていただけたことです。開発は私一人でできるものではなく、工場での製造や営業・設計による提案活動など、社内の多くの人の協力によって初めて形になります。だからこそ、その一言が開発チーム全体への評価となり、強く心に残っています。

お客様との共創のものづくり、
それが東洋シヤッターの「MAKE with」。
まずは私たちにご相談ください。

ー最後に「MAKE with」という取り組みの意義について教えてください。
「MAKE with」は、お客様と私たちが一緒に最適解を探し、共に新しい商品を生み出す取り組みです。多くの方は「ホームページに載っていないから諦める」と考えがちですが、本当にやりたいことがあるなら「ないからこそ相談してみよう」と動いてほしいと思います。同時に「ここはどうしても譲れない」「ここは目をつぶれる」と具体的に伝えていただければ、工夫を重ねて実現に近づけることができます。最初から「無理だろう」と諦めてしまえば、そこから先は進展しません。だからこそ、まずは対話をすること自体に大きな意味があると考えています。今回のワイヤー補強式水防引き戸の開発では、優先事項と妥協点を整理しながら話し合いを重ね、その過程でワイヤー補強や二段シールといった新たな構造が生まれました。単に既存品を提案するのではなく、お客様の声と当社の技術が融合することで新たな解決策が形になります。今回のワイヤー補強式水防引き戸は「MAKE with」の理念を体現した事例であり、その意義を改めて実感する出来事となりました。
ー「MAKE with」は製品づくりだけでなく、お客様との関係作りの場でもあるのですね。
本日はどうもありがとうございました。
はい。どうもありがとうございました。

東洋シヤッターのこれからのモノづくり
“MAKE with”にご期待ください。

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